地震予知

占いによる地震予知は可能だろうか。改めていくつかの側面から考えてみたい。1.実は占いが当たっていたという発言は、当たっていないことの証明である。 地震が起きてから、「発表していなかったが」とか「こう解釈すれば当たっていた」などということを言い…

作られた記憶

記憶というものは案外いい加減で、鮮明な記憶でも改変されている。サヴァン症候群等でまれに非常に正確な記憶を持つ人もいるが、ほとんどの人の記憶は本人が言うほど当てにならないものである。以前、「自分は体の分類が『○種』だから*1自分は時間が止まって…

南中時刻

日本国内では時差はない。だが、太陽が南中した時刻の差はどれぐらいあるのだろう。 以前、東京と四国では1分も差がないという人に出会った。四国といってもどの辺りを指すかでかわってくるが、経度で約5度の差があるとみると、約20分の差があることになる。…

データを見ましょう

ある占い師が「東京より福岡の冬は遥かに寒く、その理由は福岡が東京より北にあるからだ」という。 まず、本当に北にあるか調べてみる。 東京都庁 35度41分22.157秒(35.689488) 福岡県庁 33度36分23.674秒(33.606576) 県庁の位置で比較してみたが、福岡の方…

ある集落の非合理的な習慣

とある研究者が、某国の集落を尋ねたときに奇妙な習慣について目にした。尋ねると、病気になったときある特定の姿勢で座って何度か特定の動作を行い、しばらくすると体が勝手に動きだすのだという。また、これにより病気が治るのだという。 なんとも不思議な…

その占いは思い込みでした

数年前のことだが、ある占い師によれば、「自分の占いで社会がどんどん悪くなり、特に少年犯罪が増えていることがはっきり出ている」のだそうだ。確かにその頃、マスコミが少年犯罪を煽っていた。しかし、データを良く見ると少年犯罪は減っていたし、凶悪化…

占いを当てる方法2

以前書いたのとほぼ同じ内容だがまとめておく。 曖昧な表現で当てる方法 例 大物が亡くなる、あるいは引退する どのような人が大物なのかはっきり定義されていない。一年もあれば、色々見ていけばどこかの分野で、大物とされる人が亡くなる、あるいは引退す…

占いを当てる方法1

以前書いたのとほぼ同じ内容だがまとめておく。 地震予知を例にとる。 例 1、4、7、10月が危険。東京から見て、東北と南西が危険。 上の予言は非常に当たりやすいことがわかるだろうか。まず、適当に分散して一年のうち危険な月を指定する。上記の例で仮に5…

自分で間違いを証明する占い師

ある占い師によると、医師は人が死ぬ時刻を予言できないが、その人が占うと二時間の範囲内で正確に予言できるという。 その後、これが全くの誤りだとその占い師自身が証明してしまった。その占い師の親族が入院して残念ながらなくなったとき、病院からの連絡…

占いは決断の放棄

なぜ何の根拠もない占いに頼るのかというと、自分が決断してその責任を引き受けることに耐えられないからだ。

占いが正しいなら聞いてみよう

占いが絶対的に正しいものからの演繹で答えを出しているのなら聞いてみたいことがある。例えば、ゴールドバッハ予想についてだ。たぶん、まだ人類が知るには早すぎるなどと逃げるのだろう。 また、占いが当たるのなら、どうして試験や競争がなくならないのか…

検証

占い師でも自分の占いがあたることを「検証」している人がいる。ただ、検証するなら統計学の方法を用いて正しくやらないと意味がない。 占いが本当にあたるかという話になると、帰納法の話を持ち出して科学をおとしめたり、哲学的な言葉を持ち出して議論を混…

占いの矛盾

占いの矛盾点を指摘してみよう。 「占いは演繹で絶対的に正しいものから導くから正しい。科学は帰納法で構成されているから絶対に正しいとは言えない」 次のような喩え話から考えると矛盾がわかりやすいかもしれない。 占い師 今占った結果では、問題を起こ…

時間の試練

「時間の試練にさらされて残ったものは本物だ」という考えは、本物として言い切っていいかどうかは別として、確かに真理に近づくための大切なあり方だと思う。しかし、正確には様々な反証にさらされて残ってきたというべきではないだろうか。それを拡大解釈…

前世はあるのか

霊魂については、科学で証明できないだけで実際に存在するという人がいる。たしかに霊魂はあるのかもしれないが、ないかもしれない。逆にあるという証明もできていない。だから「ないと証明できないのだから…」といって逆に存在すると主張するのもおかしな話…

定義の大切さ

占ったのはどの分野のことだろう。大物の定義は?科学ならノーベル賞を取ったということか?ノーベル賞をとって亡くならなかった人はどうなのか。政治なら大臣経験者を大物というのか。このように考えていくと、占いが当たったと言うためには事前に用語を定…

曖昧さで当たる

ある占いで、「今年は大物が引退あるいは亡くなると出た」とされたとする。検証と称して亡くなった人・引退した人の名前が挙げられ当たったような感じがする。また、「政治が混乱する」と言われ実際に選挙があってテレビで連日報道されていた。

責任持ってますか

代替医療という言葉がある。非常に守備範囲の広い言葉で、evidenceが蓄積され医療の仲間入りをしているものから、完全に胡散臭いものまで様々だ。医療行為として報酬を受け取るためには、様々な制約がある。ここではそういう法的な面は抜きにして純粋に効果…

占いは演繹か

占いは演繹だから正しく、科学は帰納法で構成されているから正しいとは限らないなどという人がいる。これは前半は完全に間違っていて後半は単なる難癖のように思える。 まず後半について考えてみよう。 科学については、様々な反証が出てきて今までの考えが…

ダメな議論

飯田泰之さんの著書に「ダメな議論」がある。趣旨としては、議論の量は膨大だから、まず機械的なフィルタでダメな議論をふるい落とそう、残ったものについて内容を検討しようということ。そして5つのフィルタを提案している。 占いが当たるかどうかと「気」…

物理まで行かなくても

疑問1のような物理を持ち出さなくても、2や4くらいの非常な簡単な手法すら検討せずに「気でみる」と主張しているようなケースはないだろうか。

気でみるとは

魚を買うとき、その鮮度を「気」でみておいしいのを選んでいる、という話を聞いた。いろいろな疑問がわいてくる。 1.そもそも「気」とは物理的にはどのような存在なのか 2.その「気」だけで魚を選別しているのか。肉眼的にあるいは(場合によっては)*1触っ…

アドホックな説明

上記は典型的なアドホックな説明である。本当に占いが当たるのなら健康運がいいなどと言わず怪我をすると言えばいい。その占いでカバーできないのなら事前にそのように限定して話をするべきだ。本当に占いが当たると言うならまずアドホックな説明をしないこ…

これでも運がいいんですよ

何らかの占いで「今は健康運がいい」と出たのに怪我をしたとする。このような場合、「これでも運がいいんですよ、全体運が悪い状態のときならもっとひどくなっていたはずですから」という説明を受けた。または「その人の徳も関係する」と説明された。

当たることを考える

予知・予言が当たるとは科学的にはどのように定義したらよいのだろう。 まず、事件・事象より前に予知・予言されていることが必要である。後からならなんとでも言えることだからだ。金メダルは何個取れるでしょうという予知・予言ではっきりと「3個」*1と限…

感度と特異度

臨床検査では、感度と特異度という概念がある。感度が高いとは「陽性のものを正しく陽性と判断する可能性が高いこと」であり、特異度が高いとは、「陰性のものを陰性と判断する可能性が高いこと」を言う。占いでも本当に未来予知ができると主張するなら、こ…

検証っていうけど

占いをする人の中には自分のデータを検証している人もいる。これはよい傾向だ。データもないのに「占いは当たる」と言うことはできない。当たるかどうか検証するためには、統計学の方法に則ってデータを集めていかなければならない。前回書いたように後から…

アドホックな説明を排除するには

占いは科学的には肯定されないと考えるが科学のツールで処理できないとは考えていない。まず、ある事例を占ってもらう。ただし、2〜3例では駄目である。統計的に処理できるようなまとまった数を占ってもらう。次にその結果を最終的に○×に絞り込んでもらう。…

アドホックな説明

占いが当たる、正確には当たったように思う理由の一つに「アドホックな説明」がある。後からとって付けた説明だ。これをうまくやればどんな占いも当たることになる。ある占いで当たらなければ別の占いを持ち出し、今は全体運が下がっているから駄目だなどと…

当たったとは

占いでもカンでも、あるいは科学的な予想でも当たったかどうかの判定はどうすればよいのだろうか。事前に「統計処理できる」ように「当たり」の定義をしておくべきである。次回はこの辺りも考えていく。